ＮＳＸプレスより抜粋
ＮＳＸプレスより抜粋
１．「フォワード・キャノピー」 とは？ ホンダＮＳＸのスタイリングにおける最大のポイントは、最新のＦ１マシンやグループＣカーのように、コクピットを大胆に前方に押し出した”フォワード・キャノピー”を採用した事だ。ミッドシップ方式のメリットを生かしてフロントノーズを低くしただけでなく、可能な限りショートノーズの超コンパクト扁平ノーズを実現した。そこから斬新なグラスキャノピー、ロングテールと一体式のリアスポイラーまでをひとつの流れとしてデザインしている。
フォワード・キャノピーを採用したのは、人間優先の思想を打ち出し、そのスタイリングのなかに機能性とドライブフィールを高次元でバランスさせることをめざしたからだ。ドライバーとパッセンジャーが、快適に走りの世界を堪能できるように、運動性能はもちろん、視界や空力性能など、あらゆる要素を検討した。そこから導き出されたのが、フォワード・キャノピーの主張である。
フォワード・キャノピーを実現するために前後異サイズのタイヤも採用した。フロントを小径の15インチラジアルとする事によって、最良のハンドリング性能とブレーキ性能、良好な視界と世界トップレベルのエアロダイナミクスを獲得。理想的なドライビングポジションとペダル配置も可能にしている。
ホンダは、こうした新しい領域に果敢に踏み込み、これまでにないスポーツカー・フォルムを実感させた。
注：現在、前後異サイズは変更ありませんが、それぞれ１インチアップされています。
２．「前後異径タイヤサイズ」 とは？
ホンダＮＳＸは、前後異径サイズの専用ラジアルタイヤを採用した。これは、前後輪にかかるそれぞれの荷重を考慮し、前後タイヤのコーナリングパワーのバランスを追及することから生み出されたものだ。
ご存知のように、ＮＳＸはミッドシップ方式を採用している。単に外形合わせだけでタイヤを決めてしまうと、荷重に対しフロントタイヤの性能が勝り、直進安定性やコーナリング性能が不安定なものになりやすい。これを補うためには、フロントサスペンションやステアリング系の剛性を下げ、フロントを鈍くする方法がよく用いられる。だが、そうするとステアリングに対する反応が不確かなものになりがちだ。
そこでＮＳＸは、フロントサスペンションとステアリングの剛性を高くしてダイレクトな手応えを得ると共に、安定性をも実現する為に、フロントを２０５/５０ＺＲ１５、リア２２５/５０ＺＲ１６（現在は前後とも１インチＵＰされています）という、リム径までを変えた前後異径サイズの高性能ラジアルタイヤを開発した。このタイヤは、前後が異径サイズであるだけでなく、個々のタイヤが左右非対称の構造となっている。
３．「ダブルサラウンド・コクピット」 とは？ 同じフロントシートでも、ドライバーとパッセンジャーとでは、インテリアに求められる要件が大きく異なる。スポーツカーとなればなおさらだ。ドライバー側は、あらゆるスピード域において操作系への動きをスポイルすることなく、身体をタイトに包み込み、ドライビングへの集中力を生み出す、快い昂まりのあるものであってほしい。そしてパッセンジャー側は、ゆとりあるソフトな空間を創造し、落ち着きとやすらぎを演出するものでなくてはならない。
ホンダＮＳＸのデザインワークは、走ることを大前提とし、走りながら行なわれた。デザイナーみずからがステアリングを握り、ときにはパッセンジャーシートに座り、多くの高速ドライビングを体験しながら、造り込んでいったのである。
こうしてデザインされたのが、それぞれの機能に合わせた「１ｂｙ１（ワン・バイ・ワン）」ゾーンの「ダブルサラウンドコクピット」だ。インテリア全体にスポーツスピリッツを余すところなく散りばめ、尚且、”開放するスポーツ”にふさわしい、快適で気持ちよい空間を実現している。
ＮＳＸはインパネ一体の大型センターコンソールでドライバー側とパッセンジャー側を明確に区分し、インパネ、センターコンソール、ドアライニングがそれぞれ一体となって二人を優しく包み込む。
腰から下は身体を十分にサポートする空間、腰から上は十分なヘッドクリアランスを確保し、ドアライニングを広くえぐるなどして必要な部分に十分な広さを与えている。これによって爽快感と適度な包まれた感を両立させた。
このダイナミックな空間構成と、ラップラウンドのインテリアが、一人一人を優しく包み込むダブルサウンド・コクピットをいっそう際立ったものにしている。
